「アンティファ」の本質 左翼思想によるテロ行動

日本でも活動活発化する

 米国大統領が「国内テロ組織」に指定し、日本の保守論壇も危険視する「アンティファ」とはどんな勢力なのか。これについてはシベリア抑留研究者・長勢了治の「アンティーファの危険な素性」「WiLL」9月号)が詳しい。

 それによると、アンティファ(「反ファシスト」を意味するドイツ語の略称)は第2次世界大戦の戦中戦後に、ソ連共産党が捕虜収容所における政治工作によってつくらせた「反ファシスト民主運動」。もともとは独ソ戦争による捕虜を「ヒトラー・ドイツの壊滅に進んで協力する、反ファシズム闘争への積極的参加者を養成するのが目的だった」という。アンティファの政治工作はシベリアの日本人捕虜収容所などでも行われ、そこで“洗脳”された日本人も少なくない。

 全体主義そのものの共産党が自分たちを「民主主義勢力」と規定して「反ファシズム」を訴えるのは欺瞞(ぎまん)であるが、それは運動を広めるためのもので、現在の共産主義運動にも引き継がれている。長勢は、米国で暴動を扇動するアンティファと、ソ連の捕虜収容所のそれとは「左翼思想(共産主義、無政府主義)に基づき過激で非寛容なテロ行動をすることに共通性がある」としている。

 前出の藤井厳喜は、「黒人の命は大切」(BLM)運動について「共同創設者の一人、パトリッセ・カロス女史は『我々は訓練されたマルキストである』と明言しており、さらに『私たちの目標はトランプ大統領を退陣させることだ』とも発言しています」と紹介している(筑波大学名誉教授・古田博司との対談「日本のメディアが伝えない 米大統領選はトランプ圧勝」「WiLL」9月号)。

 一方、ゲイをカミングアウトした政治家として知られる元参議院議員の松浦大悟は、日本のLGBT(性的少数者)運動にもアンティファが関わっている、と証言している(「ANTIFAに染まるLGBT」「WiLL」8月号)。

 3年前の夏、衆議院議員の杉田水脈が月刊誌「新潮45」に「LGBTには『生産性』がない」と書いて、当事者らから激しい抗議が巻き起こり、同誌は休刊(事実上の廃刊)に追い込まれるという事件があった。これについて、松浦は「一連の動きを先導しているのはアンティファだと当初から関係者は分かっていた。しかし、ファクト(事実)を報じるマスコミは一切なかった」という。

 社会問題について差別を絡めて保守派を攻撃するのは左翼の常套(じょうとう)手段だ。日本でも、さまざまな社会問題でアンティファの思想に染まった活動家たちが暗躍している、と警戒した方がいいようだ。米国の人種差別暴動は対岸の火事ではないのだ。

(敬称略)

 編集委員 森田 清策