朝日「強制連行プロパガンダ」 国際社会に悪影響
「独立検証委員会」が報告書
朝日新聞の一連の慰安婦報道を独立した立場の学識者で検証する「朝日新聞『慰安婦報道』に対する独立検証委員会」(委員長・中西輝政京大名誉教授)は19日、都内で記者会見し検証結果をまとめた報告書を公表した。
報告書は、朝日新聞が設置した第三者委員会報告(昨年12月)について「朝日の慰安婦報道がおかしくなった背景への分析がなく、国際社会に与えた影響についての分析も不十分」と論評。朝日が多くの事実誤認に陥った理由について「朝日が戦前の日本軍に対して、非常に偏った見方を持っていたことが大きく作用した」と指摘した。
その上で①朝日は慰安婦問題を1980年代以降報じ始め、慰安婦狩り虚偽証言、女子挺身隊制度の誤報、元慰安婦経歴ねじ曲げ、資料発見記事によるイメージ操作など、多くの事実誤認がある。②91年から92年1月にかけて数々の虚偽の慰安婦報道を行い、92年1月12日付の社説掲載とその前後の慰安婦問題の集中的報道で「日本軍が女子挺身隊の名で朝鮮人女性を慰安婦にするために強制連行した」とするプロパガンダを内外に拡散・完成させた。これを「92年1月強制連行プロパガンダ」と名付け、2014年8月まで放置したことが最大の問題。③97年3月に本質は強制連行ではないという「広義の強制性」論を展開し、プロパガンダを広めた責任を回避した――と結論付けた。
また朝日の第三者委員会報告について「朝日報道が国際社会に与えた影響を極めて限定的に見ている。その結果、国際社会がいまだに『92年1月強制連行プロパガンダ』を信じているため、日本国と先人の名誉が傷つけられていることを軽視した。その上、国際社会の誤解に対して事実に踏み込んで反論する試みを、逆効果だと攻撃した。あまりにも朝日に甘い検証だ」と厳しく批判。一方で、第三者委報告が「(『広義の強制性』論について)『議論のすりかえ』だ、と核心に触れる批判をした」ことについては評価した。
報告書はさらに、同プロパガンダの影響で2009年頃から米国各地に慰安婦碑が設置され、その碑文が米国の歴史教科書に載り、地域住民間に深い亀裂をもたらしていると指摘。在米日系住民と韓国系住民との間に対立と憎悪を生み、それに起因する多くの市民生活上・精神衛生上の困難が発生している事例を挙げている。
同委員会は、国際社会に拡散している「92年1月強制連行プロパガンダ」に対して、日本政府に、事実に踏み込んだ反論を行うこと、朝日新聞には、応分の負担をし同プロパガンダの払拭に向け努力することを求めた。
今回のヒアリング対象は古森義久、下川正晴、前川恵司、黒田勝弘の各新聞記者・ジャーナリスト、現代史家の秦郁彦氏ら。朝日新聞関係者は渡辺雅隆社長、木村伊量前社長が日程の都合で、植村隆元記者は係争中を理由に実現しなかった。