行方不明の届出が8万人 年代別では10代が最多に


行方不明の届出が8万人/年代別では10代が最多に

年齢別行方不明者数の推移

 警察庁のまとめによると、平成26年中に全国の警察が受理した行方不明者は8万1193人(前年比3.3%減)。全体の数は減少傾向にあるなか、70歳以上の高齢者と20代が増えている。

 行方不明の原因は、疾病関係が2割、家庭関係2割。70歳以上では行方不明1万5201人のうち約1万人が認知症による。20代の場合は、経済的困窮と家庭関係が影響している。年代別では10代が1万7763人と最も多い。9歳以下の行方不明者が969人いる。誘拐や連れ去り、あるいは虐待が疑われる。

 居所不明児の問題に詳しい石川結貴さんは著書『ルポ 子どもの無縁社会』のなかで、「義務教育を終えた後の子どもたちが全国で万単位で行方不明のまま放置されている可能性がある」と書いている。

 米国では誘拐や児童売買、夫婦の離婚に起因する行方不明など、18歳未満の行方不明者は年間80万人に上る、と言われている。

 届けがあった行方不明者の大半は、所在が確認されているとはいえ、頻発する子供の連れ去り事件など無縁社会の闇が広がりを見せている。家庭・地域の基盤が弱くなれば、ケアが必要な弱者である高齢者と子供を守るのは難しい。