出生率の低下が続く


地球だより

 統計局がこのほど発表した出産統計によると、昨年の出生数は一昨年より約3000人少ない4万7307人。これによって、出生数の減少が8年間続いたことになる。

 子供へのケアと、出産後のお母さんが最大で3年間も出産休暇を取れるなど子供を持つ親へのケアが充実していると言われるフィンランドで、出生数の低下が続いているとは少々意外に思い、調べてみた。

 子供を欲しくないと思っている人は少ないが、結婚してすぐに子供を持つ夫婦は少ない。社会福祉国家にありがちだが、夫婦共働きは当然で、自らのキャリアをある程度確立した上で子供を持ちたいと思う夫婦が多いという。

 家族社会学者のアンナ・ロトキルヒさんによれば、子供を持つことを先延ばしにするが故に、女性の高齢化とともに子供が生まれるチャンスが低くなる。確かに高齢出産が多いという話は聞く。

 しかし、出生数の減少が8年間も続くとなれば、単に高齢出産が多いという話だけでは片付けられないような気がするのは、記者の思い過ごしか?

 まして出生数の中には移民の赤ん坊の数も入っており、移民の赤ん坊の数を除けば、さらなる深刻な数字が出てくるのではなかろうか。

 一家庭につき1・4人の子供という計算になるフィンランド社会は、高齢化社会問題を抱えており、ますます移民に頼らざるを得ない時代となるのではなかろうか。

(Y)