老朽化した橋に不安広がる
地球だより
イタリア・ジェノバのモランディ高架橋が8月14日に崩落し、39人が犠牲となった事故以来、フランスも対岸の火事ではないと不安が広がっている。というのも、築100年近い大小の橋が多数点在し、その老朽化が指摘されているからだ。
これまでも大雨による洪水で橋が崩落し、その様子がテレビで流されたこともある。
修復が自治体の予算不足で先送りになっている例も多い。国の調査報告書によると、国が管轄している約1万2000本の橋のうち、3分の1に当たる約4000本で補強工事が必要だそうだ。
特に全体の7%に当たる約840本は「深刻な崩落の危機にある」とのことで、危険な橋を毎日利用している運転手たちは緊張を強いられている。国はジェノバの事故以降、予防措置として大型トラックだけでなく全ての車両の通行を禁止し、時には閉鎖すべきと警告しているが、それでは住民が孤立してしまう村もある。
パリ周辺にもそのような橋があるらしいが、警告の看板があるわけでもなく大惨事になりかねない。自治体は洪水が発生しそうな時は閉鎖するというが、実はジェノバの橋のように洪水も地震もなく、強風だけで崩落する例もあるので不安だ。
報告書によれば、20年後の2037年には、国の管轄外のものを含め全橋梁(きょうりょう)の6%に当たる約1万2000本が老朽化で使用できない状態になるという。フランス国内には、大小合わせて約20万本の橋梁があるとされ、それらすべての維持、補強工事には莫大な費用が掛かり、悲観的意見が多い。
(A)