子供が学校でトルコ語学ぶ


地球だより

 オーストリアの移民・難民統合を担当するカリン・クナイスル外相はこのほど、「2018年統合報告書」を公表した。それによると、同国では移民出身の国民はほぼ200万人で全体に占める割合は23%。10年前は16%だった。一方、外国人数は139万5000人で外国人率は15・8%(08年10%)とこれまた大幅に増加した。

 移民・難民の社会統合状況を見る。まず、雇用市場では全体に統合の遅れが目立つ。同国の失業者数は約41万2000人で失業率は7・5%と欧州連合(EU)加盟国では低いが、外国人に限ると、その失業率は12・5%と高い。移民の場合は出身国によって状況は異なる。トルコ出身の場合、約55%が雇用市場に統合しているが、シリアやイラク出身の場合、27%と低い。

 オーストリアも日本と同様、高齢化、少子化が進んできた。同時に、雇用市場では専門職の労働力不足が深刻になってきている。オーストリア連邦商工会議所は政府に一定の移民の受け入れを要求している。

 次に、教育・言語分野から見た社会統合では、遅れが目立つ。初等教育の学校では28万857人の生徒がドイツ語を母国語としていない。その率は全体の25%にもなる。首都ウィーン市の場合、非ドイツ語圏出身の生徒数は全体の51%とついに過半数を超えた。初等教育を終えた生徒で高等学校に行かないが、基礎教育や職業教育を修得する中等学校となれば、非ドイツ語圏出身の生徒の割合はなんと73%だ。

 学校から帰宅した子供がドイツ語ではなく、トルコ語を学んできたと嘆くオーストリア人の家庭もあるという。だから、ウィーン居住のオーストリア人市民の場合、子供を地元の公立学校に送れば、ドイツ語学習が遅れ、他の学科教育も難しくなるから、経済的に豊かな家庭では学費の高い私立学校に子供を通わせる。

(O)