ワイナリーで資金洗浄
地球だより
フランス西部ボルドー地方で先月末、中国企業・海昌集団が買収したワイナリー10軒が、フランス財務警察に脱税容疑で摘発された。フランスのワイン関係者は怒り心頭といったところだ。
財務警察は、2014年から中国マネーの動きを監視し、海昌集団が、中国内で公金横領などにより得た不当な資金の洗浄目的で、監視の目が薄いフランスのワイナリーを買収していたとしている。
この10年間、中国のワイナリー買収は加速しており、ワイン商で自らブルゴーニュの名産ワイナリーを所有する友人のゲラン氏は、今回の事件に「強い憤りを覚える」と言い、「フランス・ワインが投機の対象になっていたことを嘆いていたが、犯罪に利用されるとは」とショックを隠せない様子だ。
今回問題になった海昌集団は、有名ブランドのワインを生産する醸造所計24軒を5500万ユーロ(約71億円)で買収したとみられ、今回はそのうちの10軒が、脱税などの容疑で摘発された。他にも15軒以上が捜査対象になっているという。
この10年ほどで約140軒のワイナリーが中国人の手によって買収されたとフランス・メディアは報じている。
ボルドー地方には約8000カ所ものブドウ畑があり、歴史的にも海外に開かれ、海外資本が入りやすいといわれている。チリやオーストラリアの安価なワインで苦戦するフランスの高級銘柄ワイナリーが、中国人の投機と資金洗浄の対象となっているのは残念なことだ。
(A)