ロブスターの人道的殺し方


地球だより

 ロブスターを生きたまま熱湯に入れて料理してはならない。なぜならば、ロブスターは複雑な神経系を持ち、その痛みは想像を超えたものだからだ。今後は料理前に電気ショックで神経をマヒさせるか、包丁で命を絶たなければならない。スイス政府はこのような動物保護法改正を1月に可決し、3月1日施行した。

 スイス・インフォから「人道的なロブスターの殺し方」という記事が配信されてきた。改正された動物保護法について、スイスでは動物への人道的対応として評価する声と行き過ぎた対応にすぎない、といった意見があるという。

 議論が分かれる点は、ロブスターが果たして痛みを感知しているのかどうかだ。そのため、世界の研究者がロブスターの神経網について実験を重ねてきている。スイスの今回の改正動物保護法はロブスターは痛みを感じているという理由から施行されたわけだ。

 哲学者カントは「動物を残虐に扱うものは人間に対しても冷酷にふるまうようになる」として、地上の動物を虐待すべきではないと説いたという。

 時間の経過とともに、人々は健康にいい食材を求め、栄養豊富なものを食べるようになった。そして今日、食べられる動物への愛が叫び出され、人間の友でもある動物を食べない、といった菜食主義者が増えてきた。その究極は、今回のロブスターの話だ。人間は動物の肉や食材へ感情を移入し、その扱いを考え直してきたわけだ。動物や植物にとって武士の情けというわけだ。

(O)