バス爆破犯が直後にステーキ注文


地球だより

 独西部ドルトムントで4月11日、欧州選手権チャンピオン・リーグ準々決勝、ドルトムント対モナコ戦が行われる予定だった。「ボルシア・ドルトムント(BVB)」の選手たちを乗せたバスが宿泊ホテルを出て試合場に向かった直後、3度の爆発が発生。DFマルク・バルトラ選手と警察官が軽傷を負っただけで済んだ。香川真司選手は無事だった。

 事件発生直後、イスラム過激派によるテロを裏付ける「アラーの名で」と書いた犯行メモが見つかったが、同時に、過激左派と過激右派グループの犯行を示唆する犯行声明もメディアで流れた。

 そして21日、事件は急展開した。同日早朝、対テロ特殊部隊(GSG9)がバーデン=ビュルテンベルク州のテュービンゲン市に住むセルゲイWというロシア系ドイツ人(28)を逮捕した。事件は「株のオプション取引で経済的利潤を狙った犯行」(独連邦検察のフラウケ・ケーラー氏)というのだ。

 独週刊誌シュピーゲル電子版(21日)によると、容疑者は銀行の消費者金融(8万ユーロ)を利用してBVB株のオプションを購入したという。

 容疑者は爆弾を造り、それを犯行現場に仕掛け、同時に、銀行の消費者金融(8万ユーロ)を利用してBVB株のオプションを購入して株価の操作で巨額の富を獲得しようとしたわけだ。注目すべき点は、28歳の容疑者はオペレーション(爆弾製造など)とプラニング(株購入と株価操作)を一人で行っていることだ。

 容疑者は仕掛けた爆弾の爆発後、レストランでステーキを食べながら事件後の株価の動きをフォローしていたという。独メディアによれば、容疑者は犯行を否定している。大胆で冷酷な犯罪だ。

(O)