左派の理念にうんざり
地球だより
フランスでは今春の大統領選に向け、昨年暮れ、最大野党の中道右派・共和党の予備選を実施したのに続き、1月には与党社会党など左派の予備選が行われる。だが、左派の予備選への関心は、高くない。
パリ市役所に勤める友人のカトリーヌは「左派の理論理屈にはうんざりしている。フランス人は頭のいい人に影響を受けやすいけど、左派にはこりごりしている」と憤懣(ふんまん)やる方ない様子だ。彼女は20年以上、社会党を支持していたが、夫が3年以上失業中で、オランド左派政権に期待したが、職は得られなかったという。
大手コンサルティング会社に勤める友人のフランソワに至っては「今回は右派のルペン候補に投票する。以前はルペンを支持すると言えば批判されたけど、何も恥ずかしいことじゃない」と意志を明確にしている。
旅行代理店に勤めるアンヌ・マリーは「とにかく、政治は理屈よりも結果。政治理念より、景気を良くして、職を増やせる政治家以外は辞めるべきよ」と過激な発言をしている。彼女は「左派は死んだも同然」と言う。フランスに25年住む筆者でも、フランス人の口から、そんな発言を聞いたことはあまりない。
ビジネス機器製造会社で部長をしていた友人のピエールは失業して2年が経(た)つ。「企業だって実績を出せない経営者は首になる。国だって同じ。経済力もないのに人道主義とか言って移民を大量に受け入れて、国が立ち行かなくなるなんて愚かな話だ」と言う。
ピエールは「英国が欧州連合(EU)を離脱したければ、それでいい。考え方もEUの他の国とは極端に違い、文句ばっかり言うんだったら、お互いのために離脱した方がいい」と英国のEU離脱を支持している。果たしてEUはどうなるのか。
(A)