地元産に限る野菜、果物
地球だより
週末にはスーパーに足を運ぶ。肉類を避けて新鮮な野菜、果物を中心に買うが、野菜や果物ではイタリア産やスペイン産が多いことに気がついた。
見た感じではスペイン産の果物が新鮮に見えるが、食べてみるともうひとつ、といったことが少なくない。その理由ははっきりしている。野菜置き場に並ぶまでかなりの日数が経過しているからだ。
興味深い点は「オーストリア産」と大きく書かれた袋に入ったリンゴ、ジャガイモが多いことだ。最初は「わざわざオーストリア産といって、自国ファーストを強調しなくてもいいのに。少々民族主義的だな」といったネガティブな思いが湧いてきた。
しかし、買い物を重ねると分かってきた。オーストリア産と書くのはナショナリズムうんぬんではなく、オーストリア産の果物や野菜のほうが新鮮ですといった消費者向けのアピールだということを知った。例えば、リンゴの場合、シュタイアーマルク州産地のリンゴがたとえ形が少し崩れていても実際、美味(おい)しい。
日々、胃袋に入れる食糧は基本的には地元産がベストということを学んだ。
問題はある。例えば、ドイツではコショウは生産できない。産地主義を重視したとしても、地元で生産できない食料は外地産を買わなければならない。すべてを現地産でカバーはできない。
野菜や果物だけではない。さまざまな商品が外地から入ってくる一方、現地の生産拠点がその存続の危機に直面するケースが増えてきている。
グローバリゼーションは止めることはできない。問題は地元産業とのかかわりだろう。地元産業の振興とグローバリゼーションとの共存の道を模索せざるを得なくなるわけだ。
(O)