祈りすら許されぬ北朝鮮
地球だより
国際宣教団体でキリスト者の迫害問題を訴えてきた非政府機関「オープン・ドアーズ」創設60周年の記念イベントが19日、ウィーン工科大学内で開かれた。
「オープン・ドアーズ」によれば、世界でキリスト信者たちがその信仰ゆえに迫害され、犠牲となるケースが増えてきている。その数は1億人にもなると推定されている。特に、北アフリカ・中東諸国では少数宗派のキリスト信者たちはイスラム過激派テロ組織の襲撃対象となり、家を追われ、難民となってさまよっている。
同記念イベントでは脱北したキリスト信者の証しがあった。「オープン・ドアーズ」が毎年発表するキリスト教弾圧インデックスでは北朝鮮は毎年、最悪の「宗教弾圧国」だ。その国で生きてきたキリスト信者の金ヨンソク女史(仮名)の証しは苛烈なものがあった。
聖書を持っているだけで拘束され、悪くすれば収容所に送られ、強制労働を強いられる。そこでは生きて帰ることが難しい状況だという。金女史が幼い時、父親が座って首を垂れている姿をよく目撃した。年を取れば皆あんなふうになるのかと思っていたという。
実際は、父親は祈っていたのだ。北朝鮮では祈ることは許されないから、祈っていることが分からないように祈らなければならないことを知ったという。
「北朝鮮では1990年代、飢餓が席巻していた。食べるものがなく、路上で多くの人が飢えで亡くなった。路上の亡くなった人を見て、生きている人は『彼らはもはや飢えで苦しむことがない』とうらやましく思った。それほど飢餓は激しかった。そのような中で、キリスト信者たちは生き延びていかざるを得なかった」と報告した。
金女史は「私は今、北朝鮮のキリスト信者支援運動に関与している。自分の息子が牧師となって歩んでいる姿を見て神の手を感じている」と証した。
(O)