テコンドーの本家争い
地球だより
ブルガリアの第2都市、プロブディフ市で24日、国際テコンドー連盟(ITF)主導の第19回世界選手権が開催されるが、ITFは26日、総会を開き、次期総裁を選出する予定だ。
次期総裁の有力候補は現総裁の北朝鮮の張雄氏だ。同氏は国際オリンピック委員会(IOC)のメンバーで、北朝鮮では珍しい国際派だ。ただし、同氏は総会で選出された総裁ではなく、テコンドー創設者で前総裁だった崔泓熙に指名された人物だ。それだけに張氏の総裁選出に対し、これまでさまざまな批判の声も聞かれた。
そこで今回、総会で選出され、総裁として晴れて公認されたいという願いが張氏にあるといわれている。
テコンドー組織は、韓国主導の世界テコンドー連盟(WTF)と北朝鮮が管理するITFの二つに分かれているが、ITFはさらに3分裂している。
テコンドー連盟は1966年、崔泓熙氏が創設したが、同氏が2002年に死去すると、同総裁の息子・重華氏を中心としたグループ、ITF副総裁だったトラン・トリュ・クァン氏が旗揚げしたグループ、そして張雄総裁を中心としたグループの三つに分裂した。それぞれが「わがテコンドーこそ崔泓熙氏が創設したITFだ」と主張し、本家争いをしてきた経緯がある。
興味深いことは、ITFの張総裁はWTFとの共同、連携に強い関心を示していることだ。張総裁はWTFの趙正源総裁と積極的に会談し、両者は昨年8月、中国・北京で相互連帯と支援などを明記したメモランダムを作成している。
欧州のテコンドー関係者によると、「金正恩第1書記は世代の若返りに乗り出していることから、ひょっとしたら総裁に若い候補者を送る可能性が考えられる」という。ちなみに、WTF関係者は「南北のテコンドー再統一に積極的な張氏の再選が望ましい」と考えている。
(O)