米国務長官の「新記録」


地球だより

 米国務長官が訪問国に17日間も滞在し続けるということは珍しい、というより「米国務長官の海外訪問国最長滞在記録」というべきだろう。ジョン・ケリー国務長官(71)がその新記録を樹立したのだ。

 ウィーンで開催中のイラン核協議に出席するためケリー国務長官は6月28日にウィーン入りした。当時はまだ交渉期限が30日だったので、その期限に合わせてウィーン入りしたわけだ。しかし、交渉は延長し、今月14日にやっと最終文書の合意が実現した。ケリー氏はその日まで通算17日間、“音楽の都”に滞在し続けていたのだ。

 米国務長官となれば、飛行機で世界の紛争解決のために飛び回る。米国務長官は通常1日、最長でも2日間も同じ場所にとどまらない。1日で2カ国を訪問することも珍しくない。その米国務長官が海外で同一の都市に17日間も滞在したというのは、繰り返すが、驚くべき記録だ。イラン核協議の最終合意という歴史的偉業に花を添える新記録というべきだろう。

 ケリー氏が新記録を達成できたもう一つの理由は、足の骨折事故だ。ケリー氏は5月31日、訪問先のフランスで自転車事故で右足を骨折。6月2日、ボストンで手術を受けたが、歩行には杖の助けが必要な身となった。すなわち、ケリー氏は移動したくても、安易に移動できない身となったのだ。

 ところで、オーストリアのカトリック系通信社「カトプレス」によると、ケリー長官は12日(日曜日)、オーストリアのローマ・カトリック教会の精神的中心教会、シュテファン大聖堂を訪問し、午前11時のラテン語の礼拝に出席している。ケリー氏は敬虔なカトリック教徒だ。ちなみに、カトリック教徒の政治家が米国務長官に就任したのは1980年以降ではケリー氏が初めだ。

(O)