“右傾化”批判にビクビク
地球だより
高等学校教科書『韓国史』の記述の左傾化がたびたび物議を醸してきた中、先日、これを是正しようと立ち上がった保守系執筆陣による“右傾化”教科書を出した出版社を訪ねた。話題の教科書について出版経緯を聞きたいと思ってのことだ。
韓国動乱の真っただ中にあった1951年の創業で、外壁には漢字表記の社名の切り文字看板があった。ところが、中に入って驚いた。人影がなく、至る所空き部屋だらけだ。
ウロウロしていたら出版部の課長が出てきて応対してくれたが、こちらの訪問趣旨を告げると「言われているほど特徴はありません。あまり紹介しないでほしい」と怪訝(けげん)な顔をされ、さらに驚いた。
宣伝されるのを嫌がる出版社というのも珍しいが、聞けば、“右傾化”教科書を出版する頃から脅しや嫌がらせに遭い、外部の訪問者にかなり気を使っている感じがありあり。
「マスコミで言われているような(保守的な)表現には修正されていませんから」(課長)と念を押され、ようやく『韓国史』を差し出してきた。北朝鮮が先に戦争を仕掛けてきたこと、今も武力挑発を続け、国内ではひどい人権蹂躙(じゅうりん)が横行している実態など「当たり前」の記述が“右傾化”と批判され、隠れるように出版するなんて…。
活気のない出版社を後にしながら韓国左翼史観の壁を感じずにはいられなかった。
(U)