日本抜きに安保なし


地球だより

 先日、日本から客人があり、ソウルの戦争記念館に案内した。記者自身、数年ぶりの見学だったが、展示物がかなりアップグレードされていて驚いた。以前はおどろおどろしいろう人形が目立ったが、今はハイテクを駆使し、デザインや配置も洗練された印象を受ける。

 ここの見どころは「6・25戦争(韓国動乱)展示館」で、戦争に至った当時の国際情勢から北朝鮮の南侵、戦闘の経緯、休戦などについて遺品や書簡、写真、映像などが展示されている。昔から「反共教育」に利用され、その日も小学生や軍人らの団体が来ていた。

 周知のように韓国が北朝鮮の侵攻で絶体絶命のピンチに陥ったのを救ったのが、マッカーサー元帥率いる国連軍による「仁川上陸作戦」だった。その際、米軍は日本の横浜、神戸、佐世保の各港から歩兵師団や海兵師団、護衛艦艇などを出発させ、戦争に参加したことが展示物の矢印付き地図ではっきり示されていた。これを見れば誰もが「日本なしに仁川上陸作戦はなかった」ことが分かるわけだ。

 現在も韓国の安保には日本の後方支援が不可欠――という話を軍事専門家から聞いたばかりだったので「なるほど」と思った次第だ。それなのに歴史認識やら反日感情やらで日本との防衛協力に極度の拒絶反応を見せるのが今の韓国世論だ。記念館に来て、この地図を見たら少しは考えが変わるのではないかと思ってしまう。

(U)