妹・与正氏が政略結婚?


地球だより

 新年早々、北朝鮮で“慶事”があったという報道がなされた。最高指導者、金正恩第1書記の妹である金与正氏が、最側近の一人である崔竜海・国家体育指導委員会委員長の次男と結婚していたことが分かったと、大手通信社の聯合ニュースが報じた。記事を書いたのは金第1書記が兄2人を押しのけて父、金正日総書記の後継者に決まったことをスクープした敏腕記者なので、ここはひとまず信憑(しんぴょう)性が高いとみておくことにしたい。

 しかし、父と兄を最高指導者に持つ女性の結婚が通常の恋愛の結果だとみる人は誰もいまい。相手が最側近の子息ともなれば、それだけで立派な政略結婚であり、おまけにご本人にも政治志向があるという話だ。李氏朝鮮時代の王朝を舞台にした激しい権力闘争に奥方たちがどれほど深く関わったかは韓流ドラマを観(み)てもよく分かる。韓国では与正氏と金第1書記の妻、李雪柱氏との確執が早くも取り沙汰されている。

 もう一つの「観戦ポイント」は、めでたく“ロイヤルファミリー”入りを果たした崔氏の行く末だ。崔氏を知る脱北者の話によれば、野心家で部下の面倒見もいいというから、これで名実共にナンバー2になれると思いがちだが、義理の叔父として最も近くで体制を支えた張成沢氏が金第1書記に無慈悲にも処刑された記憶がまだ生々しいはずだから、恐らく崔氏も細心の注意を払うだろう。今年も「北朝鮮は小説より奇なり」間違いなしだ。

(U)