ギリシャを救うフランス人観光客


地球だより

 フランスから飛行機で3時間、エメラルドグリーンの海と燦々と降り注ぐ太陽に白い家々が立ち並ぶギリシャは、フランス人を魅了しているようだ。財政危機でデモや暴動が起きたギリシャは観光客が激減したが、徐々に回復しつつある。

 今年のフランスは天候不順ということもあり、南仏の太陽も悪天候で遮られることが多かった。そこで注目を集めたのが同じヨーロッパ内で最も安定して太陽の光が降り注ぐギリシャだったというわけだ。日照時間が少ないヨーロッパでは、人は常に太陽を求めて南下してくる。

 ギリシャにはアテネのアクロポリスをはじめ、15の世界遺産がある。そのどれもが紀元前のギリシャ文明が残したものだ。

 フランス人のバカンス客は、通常はビーチで肌を焼きながら、読書にふけったりして数週間を過ごすことが多いが、海外に出ると日本人ほどではないにしろ、観光地の名所旧跡を訪れる。ギリシャの遺跡は十分に人々を魅了している。

 ギリシャにとって観光産業は国内経済の2番目に収入の多い産業で、その落ち込みは、財政危機で疲弊する経済に追い打ちを掛けていた。今年の夏のバカンスをギリシャで過ごしたフランス人の友人、ベアトリスさんは「われわれがギリシャに行けば、少しは彼らの助けになるんじゃないの」と言っていた。

 今年夏までにギリシャを訪れたフランス人の数は150万人とされ、昨年より35%も増えた。その意味でギリシャにとってフランス人はありがたい客ということになる。中にはフランス人宿泊客が全体の半数を占めるホテルもあるそうだ。

 ベアトリスさんが泊まったホテルでは、フランスのバゲットやクロワッサンが朝食に出て、言葉に困ることもなかったという。南仏よりコストが掛かると思われがちだが、物価が安いため、飛行機代を入れても安いという指摘もある。

 ギリシャ危機の時は「あんないいかげんな国を助ける必要はない」とか「早くユーロ圏から追い出した方がいい」などと言っていたフランス人だが、ギリシャの魅力はまだまだ健在のようだ。

(M)