北朝鮮を「なくなるべき国」


地球だより

 こちらの国防省報道官が定例会見で北朝鮮を「国自体が国ではない。早くなくなるべきなのだが…」と発言し、ちょっとした話題になっている。春先に相次いで墜落しているのが発見された無人機をめぐり米韓合同調査チームが「北の仕業」と結論を出したことに北朝鮮が反発。発言はこれに不快感を示したものだった。政府当局者が公式の場で言及する内容としては極めて異例だ。

 よっぽどのへそ曲がりか北朝鮮信奉者でもなければ「なくなるべきだ」に異論を唱える人は少ないだろう。政府当局者の発言として適当か否かという問題や曲がりなりにも一国の体裁を保ち続ける相手に対し少々乱暴だったという指摘はさておき、「その通り」というのが韓国人多数の本音と察する。

 韓国憲法の総綱第3条には「大韓民国の領土は韓半島とその付随島嶼(とうしょ)とする」とある。そして続く第4条では「大韓民国は統一を指向し、自由民主的な基本秩序に即した平和的統一政策を樹立してこれを推進する」と言っている。一般に韓半島とは鴨緑江と豆満江を根元に南側に伸びる半島で、北朝鮮と韓国を指す。つまり現在の北朝鮮の領土は本来は韓国の領土で、韓国式に半島統一を目指すと憲法に明記しているのだ。憲法に照らし合わせてみても、北朝鮮はなるほど「なくなるべき」なのである。

 ただし、発言は記者たちが“期待”する、何かの根拠に基づくものではなかった。報道官自ら「長官には報告せず、自分の見解を述べたもの」と釈明している。先代の時代から「崩壊するゾ」と言われながら持ち堪(こた)える“金王朝”を甘く見るのはやはり禁物か。

(U)