路上駐車の工夫さまざまー韓国から


地球だより

 韓国は先進国並みか、それ以上とも言える車社会。ソウルでは平日なら朝7時前から幹線道路が混み始め、行楽で外出する人々が集中する土曜日になるとソウル市内の道路は文字通り渋滞地獄と化す。車が増えると必ず付いて回る問題が駐車スペースの確保だが、韓国ではこれが難題だ。長いこと駐車場を造らない集合住宅を建て続けた結果、路上駐車が当たり前の光景が広がっている。

 路駐は自分の家の前とは限らない。ほとんどの車にはフロントガラスの内側に運転手の携帯電話番号を表示したプレートが置かれている。本来、その位置に駐車することになっている車の主から「車をどけてほしい」という連絡をいつでも受けられるようにしているのだ。

 ビルの地下駐車場などでは、入りきれない車が駐車スペースにある車の前をふさぐ形で通路に駐車することもある。その際の鉄則はギアをニュートラルにしてサイドギアを掛けないこと。ふさがれた車を出す時に邪魔している車を手で押してどけるためだ。

 ただ、路駐が“常識”となるとトラブルも起きやすい。筆者が以前住んでいた集合住宅では、夜中に駐車場の出入口に車が止められ、翌朝、住民が車を出せず大騒ぎになったことがある。携帯に電話しても応答がなく、怒った住民の一人が車を蹴とばし、防犯ブザーがけたたましく鳴るとようやく酒臭い息をした“犯人”が下りて来て、ケンカを始めたのだった。

(U)