旧正月連休は針の筵ー韓国から


地球だより

 旧暦1月1日を韓国では「ソルラル」と言って、陽暦の元旦より盛大に祝う習慣が今も続いている。今年は今月12日がその日だったが、元旦でもないのに新年のあいさつを交わすのは何年こちらに居ても慣れないものだ。

 通常ならソルラルには実家に帰省して親族が一堂に会することが多いが、今年はコロナ禍で政府が5人以上の私的な集まりを原則禁止にしており、どこも帰省を待つ実家の方から「帰って来るな」と自制を促されているようだ。

 ところで、ソルラルを前後した連休に集まらずに済み、密かに胸を撫(な)で下ろしているのが若者たちだ。集まれば自分の進学、就職、結婚について現況を親戚に尋ねられることが多く、「負け組」にとっては針の筵(むしろ)に座らされる気分を味わうからだ。

 「有名大学の試験に落ち、地方の無名大学に通うことになりました」「務めていた会社をリストラされ、今は工事現場の日雇い労働で食い繋(つな)いでいます」という類の話は口が裂けてもできない。本人に代わり親が繕って話をすれば、かえって惨めに聞こえてしまう。

 自営業を営む知人の韓国人には年頃になる娘さんが2人いるが、「私たちが30歳になるまでは結婚のことは聞かないで」と防衛線を張られている。知人はその話を敢えて親戚にも伝えることにしたという。集まった時に婚活の進捗状況を尋ねないであげて、というせめてもの親心なのだそうだ。

(U)