仕事を掛け持つ若者たちー韓国から
地球だより
最近、こちらの若者たちの間で流行り始めた新造語に「Nジョブラー」というのがある。複数を指す「N」に仕事の「ジョブ」、これにerを付けて二つ以上の仕事をする人のことをこう呼んでいる。コロナで収入が減り、副業をせざるを得ない人たちはもちろん、収入アップを目指す人も「Nジョブラー」の仲間入りを果たそうとする。社員は生涯同一の会社に身を置き、会社も社員の面倒を最後まで見てくれる時代は過ぎ去りつつあるようだ。
ある男性コラムニストの存在が「Nジョブラー」という言葉の普及に一役買ったと言われている。男性は勤めていた会社を退社し、音楽や映画のコラムを担当するなど複数の仕事をこなすフリーランスになり、テレビやラジオに出演する機会が増えて世間に知られるようになった。コーヒー好きで行き付けのカフェの主人と親しくなり、そこで週末アルバイトまでやったという。「Nジョブラー」を華麗にこなす姿が憧れの的になったのだろう。
だが、大半の人にとって現実はそう甘くない。知人が勤めるあるメーカーでは、営業職の女性社員が会社に内緒で週末だけ住まいに近い食堂でバイトをしていたが、会社に発覚して問題になり、自ら退社したという。共働きでも子供2人を育てていくには法外な教育費などが家計に重くのしかかる。「このくらい大丈夫だろう」と思ってやり始めたのだろう。韓国の子育て世代も苦労が多い。
(U)