餅の食べ方いろいろー韓国から


地球だより

 旧暦8月15日は秋夕(チュソク)と言って年に2度ある大きな祝日の一つだが、どの家でもご先祖様への供え物用に多くの料理が振る舞われる。その際に欠かせないのが松餅だ。米粉から作った生地にナツメやゴマなどの具を入れて半月状にし、松の葉を敷いて蒸して作る餅だ。通常は白い餅だが、生地をこねる時によもぎなどが使われ、深緑色に仕上げたりもする。くどくない甘さがクセになり、ついついたくさん食べてしまう。

 昔はこの時期になると、小学生たちが下校時に母親から頼まれた松の葉をたくさん拾って帰宅したという。遊びに出掛けようとすると母親に呼び止められ、生地作りを一緒に手伝わされるのが嫌だった、という思い出話を聞かされたこともある。地方では今でも朝に材料を持ち込むと夕方には何種類かの餅を作ってくれる餅屋が利用されたりするが、都会では当日早朝に専門店に並んで出来立ての餅を買っていく人々をよく見掛ける。

 総じて言えば韓国人は餅好きだ。しかも食べ方が多彩。30年近く前のことだが、招かれた家で食後に出された餅を皆がキムチと一緒に頬張っている姿を見て驚いたことがあった。まだあの頃はキムチの辛さで口がヒリヒリし、餅の味など分からなかった。お祝いの場でケーキカットの代わりに餅カットが行われたり、ケーキ生地にクリームを挟んだ「チョコパイ」にも餅入りが登場したりと、なかなか楽しませてくれる。

(U)