韓国語は手ごわい!-韓国から


地球だより

 近年、留学や駐在、現地の人との結婚でこちらに住む日本人は随分増えたが、外国暮らしでまずぶつかるのが言葉の壁だ。幸い日本人にとって韓国語は割合習得しやすい。語順が日本語と同じで、ハングル文字も漢字に置き換えられる単語が多く、意味を推測できる。

 だが,なかなか越えられない壁もある。赴任当初、市場で買い物をし「カクトゥギ(大根キムチ)」を注文したが、通じず困ったことがある。出だしの「カ」が母音を二つ並べて表記する濃音で、喉を詰まらせるように発音するコツをまだのみ込めていなかった。

 それでも長く住んでいれば少しは上達したはず、と思っていた。記者会見でテーブルに着く時、「この席ありますか」と二、三言葉を交わした隣席の韓国人女性が、会見後に目を丸くして「私たちはもっと反省しないと」と言ってきた。最初、筆者の韓国語の発音に違和感を覚えず、韓国人と思い込んだが、後で胸のネームプレートを見て日本人だと分かり、「あたなの韓国語くらい韓国の記者も日本語が流暢(りゅうちょう)でないと…」と悔しがったわけだ。

 ところが落とし穴があった。日本語で「この席ありますか」は空席か否か尋ねるものだが、そのまま韓国語で言うと「この席に人がいますか」の意。つまり人が基準なので意味が逆になり、彼女が誰も座っていないのに「席はない」と言うのはおかしなことを言うものだと一瞬錯覚したのだ。咄嗟(とっさ)に出る韓国語はまだ日本式か…と意気消沈するしかなかった。

(U)