都市で増殖するウサギ


地球だより

 ここ数年、暖冬で雪が少ないため、ヘルシンキ周辺の首都圏ではウサギのベビーブームが起こっている。特に夜、車で走ると至る所でかわいい子ウサギと出会う。

 このウサギたちは、1980年代、90年代にペットとして住宅で飼われていたウサギたちで、オーナーが放した、あるいは逃げ出したウサギたちの子孫だ。

 ヘルシンキ市の環境調査官のペッカリネン氏によれば、何千羽ものウサギが首都圏で生息。彼らは森の中に住むというよりは、都市の小さな公園や空き地で生息して繁殖しているとのこと。

 ヘルシンキ市は増殖したウサギによってとんだ食害に悩まされることになり、木や植物を守るため、わなを仕掛けたりして町からウサギの駆除を試みてきた。しかし、もはやそれは不可能という結論に至ったという。

 特に暖冬で雪がほとんど積もらない南に位置する首都圏では、ウサギは食べ物に事欠かず、わなのエサに関心がない。

 日本でも昔は野山などでウサギを見掛けたものだ。記者が小学生のころ、学校行事の一つに山でのウサギ狩りがあった。なかなかウサギを見つけて捕まえることができなかった思い出がある。

 だが、ここなら簡単にウサギを見つけて捕まえることができるのではないかと思うほど、ヘルシンキではウサギたちが人間と共に暮らしているのだ。

(Y)