新型肺炎でアジア人差別


地球だより

 中国・武漢から始まった新型コロナウイルスは、フランスでも感染者が確認され、今まで絶対見掛けなかったマスク姿のフランス人も見られるようになった。中国人を警戒する動きが高まり、あからさまな嫌悪を示す現象も起きている。

 フランスには、20世紀初頭までにフランスに住み着いたと思われる華僑が60万から70万人いるとされる。欧州最大規模だ。

 さらに文化大革命や天安門事件で政治亡命した中国人、ベトナム戦争などの戦争難民の中華系ベトナム人、カンボジア人もいる。この20年間、10万人を超える経済難民の中国人もいる。

 実は彼らはこの10年間、フランス最大の移民コミュニティーの北アフリカのアラブ系移民から襲撃を受け社会問題化している。商売上手の中国系住民は短期間で豊かな生活を手に入れるケースが多く、貧困から抜け出せないアラブ系窃盗団などに襲われている。

 残念ながら中国人と日本人の区別はつかないために、日本人も路上で襲われ貴重品を奪われたりしている。そこに今度は中国人が新型ウイルスを持ち込んだとして差別が起き、ますますアジア人の形勢は不利になっている。

 欧州最大の中華系コミュニティーに加え、中国人観光客数も欧州最大規模というフランス。中国人が利用するホテルには泊まりたくないとキャンセルも相次いでいる。自分は日本人だという名札を下げて歩くわけにもいかず、パリのアジア人には厳しい状況が続いている。

(A)