国中がサッカーの興奮に


地球だより

 11月15日の夜、フィンランド中が興奮に包まれた。大統領もメディアも歴史的な日だと称賛した。この日、フィンランドとリヒテンシュタインのサッカーの試合があり、フィンランドが3対0で相手を破り、4年に1度、ヨーロッパ最強国を決めるサッカーの祭典「UEFA EURO 2020サッカー欧州選手権」の出場資格を勝ち取ったのだ。

 フィンランドは、サッカー史上83年にわたって一度も国際大会の参加資格を勝ち取ったことがない。ワールドカップ予選はもちろん、他の国際選手権でも予選で敗退していたので、誰も期待していなかった。

 それにもかかわらず、なんとフィンランドサッカー史上初めて予選を勝ち抜き欧州選手権出場となった。参加資格が決まる対リヒテンシュタイン戦の試合競技場は多くのサッカーファンで埋まり、また、ヘルシンキ中心部の野外公園にも特大のモニターが設置され、多くの人々が観戦。フィンランドがゴールを決めるたびに熱狂と歓声に包まれた。

 試合終了のホイッスルが鳴ると、客席から喜びと興奮に包まれた観客がグラウンドに押し寄せ、歴史的な瞬間を祝った。もちろん、観客がグラウンドに降りることは禁止されており、フィンランド・サッカー連盟はそれなりの罰金を支払うこととなった。だが、連盟も「83年の長きにわたって待ち望んだ一日だということも理解してほしい」とのコメントを出すなど、その日は、いつの間にか強くなった代表チームに、フィンランド中が祝福し喜んだ。

(Y)