野党共闘に乗る左翼諸派
来年の参議院議員選挙に向けて、各党・政治勢力が動き始めている。注目されているのは、日本の主要勢力が一体となって憲法改正に取り組むか、それとも枝野幸男立憲民主党代表が首相、政権与党の座を狙って憲法改正に反対し、共産党などと野党共闘を組むかである。今国会の会期は12月10日まで。自民党が憲法改正案を提出できるかどうかは予断を許さない。
枝野代表が首相になるために共産党と組み、仮に来夏の参議院議員選挙で多数となっても、衆議院選挙で多数を取らなければ首相になれない。憲法解釈変更の閣議決定から無効にする安保法廃止運動を契機に左翼諸派も野党共闘に参画しており、過激なイデオロギーが流れ込む危険がある。
今回は、野党共闘を主張する共産党以外の科学的社会主義(共産主義)を目指す政治団体、新社会党、緑の党について取り上げたい。
新社会党は、社会党が社民党へと路線を転換した時に、社会党から飛び出た左派部分であるが、それだけではない。現在でも、同党内では科学的社会主義(かつてはマルクス・レーニン主義としていたが、現在は科学的社会主義と呼称を変更した。科学的社会主義を理論としている団体は、日本共産党、中国共産党、社会主義協会など複数あるが、それぞれ内容が違う)の学習を続けている。
もともと新社会党の前身である社会党左派は、1920年代より非日本共産党系のマルクス主義者が中心となって活動した労農派マルクス主義の流れを汲(く)み、向坂逸郎を信奉し、彼のマルクス理論を学習し続け、日本共産党を含めて日本中の政党がソ連共産党と距離を置いている時にソ連や北朝鮮と友好関係を保った。
現在、新社会党は地方議員21人だけを擁する小さな団体であるが、全労協、自治労、日教組、私鉄総連などに影響を与えている。日本共産党は以前、新社会党からの共闘申し入れを拒絶していたが、受け入れに転換した。
緑の党(グリーンズジャパン、本部・東京都中野区)は、先日、統一地方選挙に向けた29人の第一次公認・推薦・支持候補者を決定したが、立憲民主党や新社会党の公認候補も含まれていて、野党共闘を推進している。先日発表された賛同者リストの中には、左翼(社会主義協会派)、武器輸出反対ネットワークなどを所属団体とする人が含まれている。
緑の党は、70年代より世界各国で起きた反原発、反戦、エコロジー、反核などを主張する団体の日本版である。日本での結成以来、離合集散を繰り返している。今の緑の党は2012年に結成されたものであるが、それまでの間、過激な左翼であるMPD(平和と民主運動)への投票を呼び掛けたり、戦旗・共産主義者同盟、第四インターナショナル系や共産主義労働者党などの元メンバーらを吸収してきた。同名だが、街頭でボランティア募金を募る緑の党(本部・東京都豊島区)とは関係がない。
なお、1974年に日本共産党内の中国共産党忠誠派が結成した日本労働党は、以来、衰退してきたが、10人ほどの地方議員がいる(全て無所属を名乗る)。中国共産党寄りの主張が多く、日本共産党との共闘は特に主張していない。