とことん安室フィーバー


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 歌手の安室奈美恵さんが16日をもって芸能界を引退した。

 ラストライブが行われる15日、ファンにとっては、宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターが本人の生の声を聞ける最後の地となった。当日の那覇行きの航空券はほぼ完売、那覇市内のホテルも満室だった。チケットは売り切れでも、「安室にできるだけ近くにいたい」「安室と同じ空気を吸いたい」といった思いのファンが、会場周辺にあふれかえった。ライブの最中は会場内の3500人をはるかに上回るファンが隣接する公園に集まり、会場からの“音漏れ”に耳をそばだてていた。

 宜野湾市内は広範囲にわたり、安室ファンの姿が目に付き、普段は普天間飛行場の視察目的で訪れることの多い嘉数高台公園にもファンが集まっていた。ライブ会場を見るには絶好の場所だからだ。

 引退当日も沖縄は安室一色だった。

 那覇市内には特大のポスター、懸垂幕、そしてスクリーンに映し出される映像、さらにはBGMなど、どこもかしこも「安室」だった。沖縄都市モノレールは、全駅の改札口で安室さんのヒット曲を流し続けた。安室さんのステッカーを車体に付けたタクシーも散見された。

 最も粋な計らいとしてファンの目をくぎ付けにしたのは、バスだ。先頭部の行先表示サインに「We ラブ(ハートマーク)NAMIE」と描かれ、バス停の電光掲示板にも安室さんへの感謝のメッセージが書かれていた。

 引退の日、沖縄県知事選の候補者応援で自民党の小泉進次郎筆頭幹事長が演説したが、冒頭、安室ファンに言葉を投げ掛け、「本当にお疲れさまでした」と労いの言葉を掛けていた。そして、政治家も巻き込んでの安室フィーバーもついに幕を閉じた。

(T)