衰退する共産党職場支部
共産党が大きな曲がり角に来ている。職場支部の衰退である。企業や役所の共産党支部が、党員の高齢化に伴い縮小、あるいは、消滅し続けている。
共産党は労働者の党である。そのことは、共産党の規約第2条「共産党は、日本の労働者階級の党である…」にも明白である。共産主義思想は、史的唯物論・階級闘争史観に基づいたイデオロギーであり、労働者階級が、人類がかつて実現したことのない社会=共産主義=労働者のユートピアを実現するというイデオロギーである。労働者を社会変革の主体としている。その共産党内部で、職場支部が消滅し、労働者党員がいなくなったら大変である。共産党が主張する科学的社会主義が成り立たなくなる。
今年、5月26日から27日まで、党本部にて、職場問題学習・交流講座が開催され、昨年1月の第27回党大会決定の、「6000万人の労働者階級のなかに強く大きな党をつくる仕事を、職場支部と全党の共同の事業として取り組むこと」の実現に向けた学習・交流講座がなされた。学習・交流講座への報告・まとめの発言をしたのは山下芳生党副委員長であった。なお、職場問題学習・交流講座は、12年前より、時々、開催されている。
学習・交流講座では、職場支部の悲惨な状況を語る発言が相次いだ。山下副委員長は、「退職者が急増し、職場支部でOB・OGが多数のところもあります」と報告した。ちなみに、共産党の基本方針は、住んでいる地域支部に転籍し職場支部にとどまらないということである。自治体職場支部の戸坂清氏は「職場支部は、大量の退職者で、党員は面から線、線から点の存在となっています」、中小製造業職場支部の五述近夫氏は、「今日までギリギリ二ケタ超の支部員を維持してきました。ほとんどが20代の前半のほぼ同時期の入党でしたので、現在は、定年後再雇用の同志が多数になっています。このままでは数年後に支部消滅の危機を迎えます」と発言した。
そのような状況の中で、京都中丹地区委員会の堀久仁子氏は、2017年2月から職場支部援助委員会と職場支部代表者会議(=支部長会議)を月1回定例化し、月1回以上支部会議をもつ職場支部を7割に広げたと発言したが、2年前には3割しかなかったというから悲惨である。
会議に参加したのは、ほとんどが、共産党員など関係者が経営している民医連や保育園の組織、後は自治体などの公務員の組織の代表者である。民間の企業からは、共産党は消滅しつつあると考えられる。
その中で、教員組織の元気さが目立った。発言者43人中、12人が教員関係であった。沖縄で開催された「ゆいまーる」全教・未来をひらくプロジェクトに参加した青年が入党と、組合活動が利用されている側面がある。また、退職党員が、入党者の半分以上を入党させたとの報告もある。厚生労働省としては、退職者の組合活動を規制するべきである。退職者は、労働者ではない。
最後に、自治体の共産党議員団が、同じ自治体の職場支部に、入党勧誘対象者を紹介している実態も明らかになった。