徴兵制復活で移民教育?
地球だより
フランスのマクロン大統領が新たな兵役制度導入の検討に入ることを政権関係者に指示したこともあり、兵役復活の議論が高まっている。
マクロン大統領の公約は、度重なるテロの脅威に備えるため、18歳から21歳の男女(約60万人)を対象に最低1カ月の兵役を義務化するというものだ。今年1月に軍幹部や兵士を前に語った時には、同大統領は3カ月から6カ月とも言っていた。
膨大なコストなどを理由に2001年に廃止された兵役制度は、基本的に10カ月で、全国の基地に配属され、訓練を受ける一方、週末は帰宅もできた。
さらに優秀な学生たちは、海外の仏大使館や仏インターナショナルスクールなどで16カ月働き、海外経験を積ませる制度もあった。
兵役を義務化すれば、今、聖戦主義に傾倒するアラブ系の若者も兵役に就くしかなくなる。彼らに愛国心を教える機会にもなると思われているからだ。その点では国民の同意もある。
テロ事件で多くの犠牲者を出し、格差拡大が問題となっているフランスでは、国民の一体感は必須の課題だ。昨年の大統領選では右派・国民戦線のルペン候補が支持を集めた。エリートから貧困層の移民2世、3世まで参加する兵役の復活議論の背後には、そんな理由が見え隠れしている。
(M)