ロシア革命から100年 米大統領、共産主義犠牲者を追悼

 トランプ米大統領は7日、1917年のロシア革命から100年を受け、「全米共産主義犠牲者の日」を宣布し、1億人を超えると推定される共産主義の犠牲者を追悼した。トランプ氏は声明で、共産主義を「自由、繁栄、生命の尊厳と相いれない政治思想」と断じたが、米国では若い世代を中心に共産主義に対する警戒感が薄れつつある。最近の世論調査では、過半数の若者が社会主義か共産主義国家に住みたがっているとの驚くべき結果も明らかになった。(編集委員・早川俊行)

「暗黒時代生んだ」と非難

 「ロシア革命が抑圧的な共産主義による暗黒の数十年を生み出した」

 トランプ氏は声明で、ロシア革命が世界に悲劇をもたらす発端となったとの見方を示した上で、共産主義が「罪なき人々から神が与えた自由を奪ってきた」ことを非難。今なお共産主義体制下で苦しむ人々のために、「米国は自由の光を照らす確固たる決意を再確認する」と強調した。

 米大統領が共産主義の犠牲者を追悼する日を宣布するのは初めて。保守派からは、トランプ氏が共産主義を明確に否定するとともに、現在進行形の課題と位置付けたことを高く評価する声が上がっている。

 声明の発表は、トランプ氏が共産党一党独裁体制の中国を訪問する直前のタイミングとなった。これについてホワイトハウスは、米メディアに「人権と自由に対するわれわれのコミットメントを示す上で時宜を得たものだ」と主張した。

薄れる共産主義への警戒感
米国、若い世代が社会主義を支持

 一方で、冷戦終結から四半世紀が経過し、米国内では共産主義や社会主義に対する基本的知識や警戒感が薄れつつあることも事実だ。

 共産主義の残虐性を後世に伝える活動を行う米非営利組織「共産主義犠牲者追悼財団」が、インターネット調査会社YouGovに委託して実施した世論調査によると、2000年以降に社会人になったミレニアル世代(21~34歳)の44%が社会主義国家に住みたいと回答し、資本主義国家の42%を上回った。共産主義国家の7%を合わせると、過半数の51%が社会主義か共産主義の国に住みたいと考えていることになる。

 全体では、59%が資本主義国家、34%が社会主義国家に住みたいと回答しており、若い世代ほど社会主義を支持する傾向が顕著だ。

 ミレニアル世代で共産主義を「極めて好ましくない」と答えたのは36%にとどまり、全体の56%に比べて大幅に低かった。また、カール・マルクスに好感を抱くミレニアル世代は32%に上ったほか、31%がアルゼンチン出身の革命家チェ・ゲバラに、23%がレーニンに好感を抱いていると答えた。

 共産主義体制の犠牲者は全世界で1億人を超えると推定される。共産主義の犠牲者数を尋ねる質問で「1億人以上」と回答したのは全体で31%、ミレニアル世代では19%にとどまった。

 共産主義犠牲者追悼財団のマリオン・スミス事務局長は「共産主義がもたらした大量虐殺、破壊、窮乏について生徒たちに教えてこなかった教育システムの組織的失敗を浮き彫りにするものだ」と指摘。「(共産主義という)恐ろしい思想を本当に歴史の灰の山に捨てたいなら、その危険性を米国の新世代に警告する責任がある」と主張している。