小池百合子都知事の誕生 女性が政治を動かす時代
世界で女性がトップに
今年7月末、東京都に小池百合子氏による初の女性都知事が誕生、心から応援の拍手を送りたい気持ちだった。
明治以来、日本は近代化に向かって欧米を先進国と見て、生活、経済などの文化を取り入れて近代化し、欧米並みの女性解放も唱えられたが、社会的に女性が表に立つことは珍しい時代が戦後まで続いた。
私は教育の世界を歩いてきたが、特に北海道は歴史も浅く、女性校長もゼロの時代が続き、ようやく私の提案で初の女性校長ができたのだった。
現在の道知事は女性。それも最近では当然のように見えてきた。高橋はるみ知事は、立派に道政の健全化を果たしている。
女性が立ち上がるには、男性の支えももちろん必要だが、それ以上に女性自身の意志の強さが最大の条件になるだろう。
今回の小池氏の場合も、所属している自民党の反発に遭いながらも、毅然(きぜん)として信念を曲げずにやり通したその姿勢が、多くの都民の正義感を動かし、共感を得たのだろう。
それが当選の結果となって表れたのである。
何の不思議も違和感もない。
彼女は立派に都政の改善をやり抜くであろう。
日本はもともと天照大神の女性の神様によって神話の歴史が始まっているのである。欧米でも英国のサッチャー元首相、現在のメイ首相、ドイツのメルケル首相、米大統領選のヒラリー・クリントン候補、アジアでは韓国の朴槿恵大統領、台湾の蔡英文総統、フィリピンにもアキノ元大統領、アロヨ元大統領がいた。女性が政治のトップに立つことは、世界の先端を行っていると自信を持っていい。
女性本来の心は母性と呼ばれる愛と誠実、無償の献身の精神により成り立っている。そのような母性的な精神は政治になくてはならない基本である。
世界の情勢は今、変革の時を迎えている。
アメリカは今度の大統領選でドナルド・トランプ候補により孤立主義に陥る可能性もある。ヨーロッパでは英国が欧州連合(EU)離脱を国民投票で決めた。英国の国民は難民受け入れを、どこかで拒絶したかったのだろう。英国の動きは他のEU諸国に広がる可能性も出てくる。
伊勢志摩サミットが5月に終わり、キャメロン首相もにこやかに参加していた。それから1カ月も経(た)たずに起きた異変は想定外だったろう。
原爆に思った戦争抑止
サミット閉幕後にオバマ大統領が広島を訪れ、原爆被害者家族の少女から花束を受け取った。原爆の恐ろしさは、体験者でなければ分からない。広島、長崎に原爆を落とされ、日本は終戦の決断をした。多くの国民の犠牲で初めて終戦を決めたのだ。あまりにも悲惨な国民の犠牲だった。
若き日、結婚した私たちは夫の提案で新婚旅行に列車を乗り継ぎ広島を訪れた。まだ残っていた焼け野原に僅(わず)かばかりのコンクリートの石壁があり、人の姿が焼き付いていた。流れる川が人の死体で埋まったという。その跡地を若い私たち夫婦は無言で見て廻(まわ)った。
戦争の抑止力は政治力であると、その時思った。
戦後70年も過ぎ、“時”は変わりつつある。第2次世界大戦後の復興と経済・文化・科学の発展が、国家の力となり、21世紀の日本の自主自立へのパワーとなっていく。自国を護(まも)るための強力な政治姿勢は、今後必要になってくるだろう。
それを意識させ、人々の心に自立への覚悟を持たせることも大きな政治の責任である。国際情勢は友情だけでは済まされない。自国を護るという固い意志が必要なのだ。