目立つ「安保」誤報 マスコミ報道を信じるな
間違った認識続く読者
今年になっても、筆者の「平和安全法制について」の全国講演が続いているが、未だにマスコミの誤った報道を信じている人の多いことに驚く。
それは、自衛官自殺率で、実際は一般男性と比較して少ないにも関わらず、柳澤協二氏(元内閣官房副長官補)や半田滋氏(東京新聞編集委員)らの報道によって、自衛官自殺率の方が高いと思い込んでいる人が意外と多いことだ。
実際の自殺率は、「一般男子>男性自衛官>イラク派遣自衛官」ということで、自衛官の自殺率は低いというのが真実である。
最近では、防衛省もこうしたマスコミの間違いについては、正確を期した記事を掲載するよう文書で申し入れるようになった。
昨年11月には、防衛省広報課長が『文藝春秋』編集長に文書を持って直接出向いている。
それは11月号の対談記事の奥田愛基氏の「自衛官は、万が一拘束された時に国際法上の捕虜にもなれません」との記述に対してである。
「自衛隊は、通常の観念で考えられる軍隊ではありませんが、国際法上は軍隊として取り扱われており、我が国が紛争当事国となり、万が一、自衛隊員が捕えられるような事態が発生した場合、国際人道法上の『捕虜』として取り扱われることになります。
また、重要影響事態及び国際平和支援法に従って自衛隊が他国軍隊に対して後方支援を行う場合、我が国がそのこと自体によって紛争当事国になることはなく、そのような場合に自衛隊員が国際人道法上の『捕虜』となることはありませんが、その場合であっても、国際法上適法な活動を行っている自衛隊員の身柄が、少なくとも、普遍的に認められている人権に関する基準並びに国際人道法の原則及び精神に従って取り扱われるべきことは当然であると考えております。
したがって前述の奥田氏の発言は、明らかに誤りであり、適切ではないと考えております。
貴社は、報道機関として、その使命は重く、社会的影響力が大きいと考えており、正確を期した記事の掲載をされますことを切に要望いたします。」という内容である。
次に日本テレビの1月の世論調査の質問で、「去年9月に成立した安全保障に関する法律についてお伺いします。同盟国などが攻撃を受けた場合、日本が攻撃されたことと見なして、反撃することができる集団的自衛権の行使など、自衛隊の活動を広げる安全保障関連法が、3月末までに施行されます。あなたは、この法律を支持しますか、支持しませんか?」について、①支持する33・1%、②支持しない53・3%、③わからない、答えない13・6%―という数字がでた。
これに防衛省は、政治部長宛に文書を送付した。
今回の法制は、「あくまで『限定的な集団的自衛権』の行使を認めたものであり、他国防衛それ自体を目的とするいわゆる集団的自衛権一般の行使を認めたものではありません。」「このような設問は、……誤解を国民に与えるものであり、極めて遺憾であります。」「今後慎重かつ適切な報道を強く要望致します。」というもの。
学んで真実の見極めを
同じテレビでも、質問内容によっては評価が大きく変わる。
FNNの世論調査(1月)の設問では、「集団的自衛権を限定的に容認し、自衛隊の役割を増やした安全保障関連法を評価しますか、評価しませんか。」だと、評価する46・5%、評価しない46・2%となった。
このようにマスコミ報道によって、国民の受け方も変わる。何が真実か? それは我々が自ら学び、賢くなるしかない。