目覚めよ、沖縄県民(2) 「沖縄は中華系」との誤認識を改めよ
では、琉球独立論を違った角度から考察していこう。琉球新報は、これまでに「琉球民族の自己決定権」を掲げ、ありもしない「琉球民族」を存在するという立場から独立論を支援してきた。しかし、前述したように琉球大学の研究結果のとおり、日本民族であることがわかると、今度は「琉球処分違法論」を唱えてきた。琉球処分違法論とは、琉球は独立国家であって、併合はウィーン条約法条約違反であるという論理だ。
だが、考えてほしい。ウィーン条約法条約は、国際慣習法の条約法を法典化したもので、1981年に日本が加盟したものだ。法学の常識では、遡及なので違法とするのは無理がある。まるで、アメリカがわが国に対して、事後法で裁いた東京裁判を行うかのようだ。また、琉球処分というのは、そもそも条約ではなく、日本の国内事業であり、国際法とは何ら関係がない。
さらに、琉球王国が海外と結んだ条約を根拠に、琉球は独立国家だったとしているが、そもそも歴史的に考察すると、琉球が海外から結ばされた条約は、海外の武力を背景に締結させられたものであり、条約法に違反するのは、むしろこちらの方なのだ。
以上のようなことから、琉球処分違法論は論理的に破綻している。本稿を執筆するにあたり、沖縄の歴史の真実をこのように考察しないと、琉球独立に利用されてしまうことを体感した。日本人全体が、沖縄の歴史を共有する必要があるだろう。
さて、次に技術的な観点から琉球独立は可能かということを考察してみたい。結論から言えば、不可能だ。日本国憲法の解釈でいうと、一地方の独立を認める条項がない。そのため、憲法上では独立は不可能であり、日本政府も同じ見解をもっている。また、刑法にも触れることになる。いわゆる国家的法益に関する罪である。琉球独立をするということは、国家を転覆することになる。なぜなら、沖縄はわが国の一部だからだ。それを行うというのは、革命政府を立ち上げることと同じである。そのため、刑法第77条の内乱罪に抵触する。刑は、死刑または無期懲役のため、琉球独立の首謀者はその刑に処せられる。また、琉球独立を画策することも刑法に触れる。このように考えると、琉球独立に関わることは、すべて犯罪なのだ。法治国家として、許してはならない。
では、ここからは、琉球独立を阻止する具体的な方策を提案していくこととする。まず、憲法レベルでのことであるが、「独立を容認する条文はない」とする見方は、弱すぎるように思う。そこで、参考になるのがウクライナの憲法や隣国の韓国の憲法である。
まず、ウクライナの憲法をみてみよう。ウクライナ憲法の「第9章ウクライナ領土」の第133条には、このようにある。
「ウクライナ領土及び地方行政体は、クリミア自治共和国、州、地区、市、町、村からなる。ウクライナは、クリミア自治共和国、ヴィーンヌィツャ州、ヴォルィーニ州、ドニプロペトロウシク州、ドネツィク州、ジトームィル州、ザカルパッチャ州、ザポリージャ州、イヴァーノ=フランキーウシク州、キエフ州、キロヴォフラード州、ルハンシク州、リヴィヴ州、ムィコラーイウ州、オデッサ州、ポルタヴァ州、リヴネ州、スムィ州、テルノーピリ州、ハルキウ州、ヘルソン州、フメリヌィツィクィイ州、チェルカースィ州、チェルニウツィー州、チェルニーヒウ州、キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市からなる。キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市は、ウクライナの法に定められた特別な地位を有す」
しかし、この条文に領土規定があるにもかかわらず、クリミアはロシアに併合されてしまった。国際社会は、ウクライナの立憲主義の立場から、許してはいけないだろう。
次に、韓国の憲法を読んでみよう。「第1章総綱」には、第3条に「大韓民国の領土は韓半島とその付随島嶼とする。」とある。「韓半島」とは朝鮮半島全体のことであり、北朝鮮を国家として認めず、北朝鮮の地域まで自国領土としている。
このように、海外では自国の憲法に自国の領土の範囲を定義して明記している。わが国では、憲法改正論議で日本国憲法第9条の改正や国家緊急事態条項の導入の話で持ちきりだが、前述したウクライナや韓国の憲法に学び、自国の領土の範囲を改正した憲法に盛り込む必要があると考える。
さらに踏み込もう。自国の領土保全を目的とした、「領土保全法」をつくり、その中で独立を認めない条文を明記してもよいだろう。憲法でも、法律でも一地方の独立を許さない体制を作るべきである。
しかし、法整備をするだけでは、本質的には変わらない。日本人全体の歴史認識が問われている。沖縄を「別の国」「中華文化圏に近い」という意識を払拭する必要がある。大東亜戦争が自存自衛のための戦争で、従軍慰安婦の強制連行はなかったという正しい歴史認識を共有することは言うまでもないが、沖縄がどのような歴史をたどったか、また沖縄人は日本民族であるということ、琉球処分の正当性を教科書でもしっかりと教える必要性が迫られていると考える。さらに、神話の教育も不可欠だ。民族は、建国の歴史や神話を共有するものである。古事記、日本書紀をはじめとする神話を沖縄から北海道まで、すべての自治体で行うべきであろう。
しかし法的な解決策だけではなく、基地問題等の現実的な事象についても早急に解決する必要がある。そこで、米軍関連施設及び自衛隊関連施設を日本政府の権限で、すべて建設できる法整備をするべきであろう。本来なら、地方特別法をつくり、米軍海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古への移設を、政府の権限で移設できるようにしたいが、地方特別法は住民投票があるため、現在の沖縄の情勢では成立は見込めない。そこで、特定の地域に限定しないで法律を作ることにより、解消すべきだろう。最初は反発があるかもしれないが、日米安全保障条約が時の経過とともに国民に浸透したように、このような立法も時間が経過すれば理解されるはずである。
琉球独立というのは、日本民族の分断と2600年以上続いてきた日本の崩壊を意味する。国民は歴史を共有すること、政治家は領土を守る立法を急ぐこと。琉球独立を阻止するためには、官民一体となって臨む必要があると、私は主張したい。
(終わり)
(日本大学通信教育部法学部政治経済学科3年)