無人機の操縦者は誰?
地球だより
パリの上空を深夜から未明にかけて、不審な小型無人機が飛行する目撃情報が警察に多数寄せられ、騒ぎとなった。というのもフランスでは1月に風刺週刊紙シャルリエブド襲撃テロ事件が発生し、人々はテロにおびえているからだ。
現在、パリ市内を歩けば、地下鉄駅構内や観光スポット、大型商業施設などでテロ警戒に当たる兵士たちを、あちこちで見掛ける。今までも治安維持の兵士はいたが、その数は倍増している。特にパリの米国大使館前やユダヤ教関連施設周辺の警備は強化され、緊張状態が続いている。
最近では、ソマリアを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系過激派組織、アルシャバーブにより米国、英国、フランスなどの大型ショッピングモール攻撃を呼び掛ける動画がネット上に投稿された。フランス国内ではパリ中心部のル・フォーロム・デ・アール、西郊外のビジネスタウンにあるレ・キャトル・タンというモールが名指しされた。
どちらのモールも年間約4000万人前後の利用客のある大型商業施設で、テロが起これば、惨事も予想される。そんな状況の中、無人機が夜間飛行を行ったわけだから、テロ計画が進んでいるのではと懸念が広がるのも当然だ。無論、パリ上空の夜間飛行は全面禁止されているが、飛行高度が低いためレーダーにも捉えられなかったそうだ。
フランスでは昨年来、原子力発電施設数カ所で無人機が飛来し、いまだに誰が無人機を飛ばせたのか分かっていない。今回の無人機飛行は、米国大使館やエッフェル塔、バスチーユ広場、国民議会議事堂上空などで5機の目撃情報があった。政府はパリ市民に不安が広がらないよう過度の心配は必要なしと呼び掛けている。
フランスは現在、シリアやイラクの「イスラム国」への爆撃を繰り返す有志連合に加わり、米国の右腕になっている。2年前にはアフリカのマリでイスラム過激派掃討作戦を実行しており、国内には欧州最大規模の600万人のアラブ系移民を抱えている。
実際、エッフェル塔などは何度もテロ計画が発覚しており、米国の9・11テロを前後して、米国大使館やエッフェル塔にヘリコプターで突入するテロがイスラム過激派によって計画されていたことも確認されている。パリ上空に飛来した無人機の正体は何とも不気味だ。(M)