日米防衛指針、効果的な具体策を盛り込め


 政府が「日米防衛協力の指針」の再改定に向けた中間報告を発表した。

 中間報告のため具体策に欠けるが、現在の指針と比較すれば日本が直面する危機的事態にかなり効果的に対応できる枠組みを設定している。問題は最終案で実効性のある具体策を盛り込めるかどうかだ。

切れ目のない共同対処

 報告では再三、日米同盟が日本を中心とする国際情勢の危機に「切れ目のない共同対処」を行う必要性を強調している。こうした対処方法を策定するのは当たり前だ。国際社会の危機は無段階的に変化するのであり、「平時」「日本有事」「周辺有事」が明確に区別できない。

 それに従来は、国際社会の実態に関係なく、初めに憲法解釈、中でも憲法の制約があり、それを大前提に当面を糊塗するやり方でしのいできた。

 だが、主要国間の力の変化、米国の国力や指導力の相対的低下、サイバー空間における新たな戦いの登場により、これまでのようにいざとなれば米軍に頼ればよいといった安易な方法は取れなくなっている。その意味ではもっと早く指針を是正すべきであった。

 一部で指針の再改定は「周辺事態という地理的制約を外すことで、全世界で米国への軍事協力体制を作るのが狙い」との非難がある。

 しかし、貿易立国の日本の国益は、周辺という限られた地域にとどまらず、全世界に及んでいる。それ故、日本にとっては国際社会の平和な秩序が不可欠である。平和の恩恵を享受するだけでなく、平和維持の役割の一端を担うことも日本の責務なのだ。

 今後、具体策について米側と詰めることになろうが、わが国の課題は敵対国のミサイル、攻撃機の発進基地への攻撃能力の確保である。

 報告では、日本への武力攻撃の場合、日本が「主体的に排除する」としている。だが、自衛隊には、いわゆる敵地攻撃能力が欠如している。これでは従来通り、日本防衛の最重要機能を米軍に依存し続けねばならない。それがあまり期待できない情勢になりつつあるにもかかわらず、である。

 報告で懸念するのは、依然として日本は「専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従う」と断っている点である。安倍内閣への国民の期待は、冷戦下の自民、社会両党による55年体制下で策定された政策を見直すことによって「日本を取り戻す」ことにある点を忘れてはならない。

報告の公表手順に疑問

 ただ、今回の中間報告を国民に公表する前に、一部の国家に説明したのは解せない。同盟国でもない国家に自国の存立に重要な関わりのある安全保障政策を策定過程で知らせ、了解を求めるような前例は寡聞にして知らない。

 もし相手国に変更を求められたら、どのように対処するつもりなのか。

 安全保障の最適戦略・戦術は、ライバル国や敵対国にとって、最も採用してもらいたくない政策にあることを肝に銘じておくべきだ。

(10月12日付社説)