神父たちの愛人が「独身制廃止」要求


 24人のイタリア女性たちがフランシスコ法王宛てに公開書簡を送り、その中で聖職者の独身制の廃止を請願している。24人の女性は神父や修道僧の愛人であり、密かに同棲生活をしてきた女性たちだ。

 興味深い点は、同記事を最初に報じたのはインターネット・メディアのバチカン・インサイダーだが、バチカン放送が18日、一日遅れでそのニュースを掲載したことだ。それもかなり詳細に報じているのだ。

 ローマ法王と法王庁の意向を忠実に反映するバチカン放送が独身制の廃止を要求したイタリア女性たちの書簡を報道した背後について、「カトリック教会の抜本的な改革に乗り出すフランシスコ法王の願いを汲んだものだ」といった推測すら流れている。

 記事の内容をもう少し紹介する。24人のイタリア女性たちはフランシスコ法王に公開書簡を送り、聖職者の独身義務を廃止してほしいと要請。バチカン放送によれば、「女性たちは沈黙と無関心の壁を克服したいと願っている。彼女たちは破滅的な苦痛の日々を送ってきた」という。
 「私たちのためだけに願っているのではなく、教会全体の繁栄ためにも独身制廃止を願う」と述べ、「夫たちが今後もその聖職を継続できることを願っている」という。
 女性たちは「秘密にして生きるのは偽善的であり、精神的にもフラストレーションが蓄積する日々だ。法王が私たちの夫への愛を祝福して下さるように願う」と祈願し、書簡を結んでいる。

 聖職者の独身制について、南米教会出身のフランシスコ法王は前法王べネディクト16世と同様、「独身制は神の祝福だ」という立場だ。ただし、「聖職者の独身制は信仰(教義)問題ではない」と認めている。なお、フランシスコ法王は聖職者の2重生活については批判的だ。聖職者が一人の女性を愛するなら、聖職を断念し、愛する女性と家庭を持つべきだという立場だ。
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 バチカンのナンバー2、ピエトロ・パロリン教理省長官は昨年、べネズエラ日刊紙の質問に答え、「カトリック教会聖職者の独身制は教義ではなく、教会の伝統に過ぎない。だから見直しは可能だ」と述べ、欧州メディアで大きく報道されたことがある。

 カトリック教会では通常、「イエスがそうであったように」という理由で、結婚を断念し、生涯、独身で神に仕えてきた。しかし、キリスト教史を振り返ると、1651年のオスナブリュクの公会議の報告の中で、当時の多くの聖職者たちは特定の女性と内縁関係を結んでいたことが明らかになっている。カトリック教会の現行の独身制は1139年の第2ラテラン公会議に遡る。聖職者に子供が生まれれば、遺産相続問題が生じる。それを回避し、教会の財産を保護する経済的理由が(聖職者の独身制の)背景にあったという。

 バチカンは今年10月5日、シノドス(世界代表司教会議)を開催し、そこで「福音宣教から見た家庭司牧の挑戦」(仮題)について協議するが、家庭をもたない聖職者たちの家庭問題への対応について、「医学の勉強をしなかった偽医者が患者を診察するようなものだ」といった声も聞かれる。

(ウィーン在住)