感謝される植民地教育
地球だより
ルイスさん(58)一家は数年前にインドのゴアからロンドンに移住してきた。故郷ゴアのことやインドの話を聞く機会がよくあるが、先日はインドの教育の問題点が話題になった。インドはヒンズー教の文化では共通しているものの、大きくは28州に分かれていて言語も各地方別に幾つもあり、統一した共通言語がないことがまず大問題ということだ。
ヒンズー語や英語が一応公用語にはなっていても、現実には地元ではあまり使用されていない。カースト制度に根差した各地方での習俗や慣習が根強く残っていて、統一した教育システムや社会運営が実施できないでいる。このため、腐敗や汚職が多いという。
例えば、今、高校3年生になる娘さんはゴアにいた時にはホッケー選手で全国大会にも出たようだが、オリンピック選手の選考にあっても推薦段階で多くの不正があって、優秀な選手が必ずしも選出されていない。オリンピックでインドが振るわないのはこうした不明朗な選考方法にも原因があるという。
ゴアは1961年までポルトガルの植民地だったが、それまでは経済も安定し教育も良かったとのこと。カトリックの宣教師が開いたミッション・スクールが全ての子供たちを受け入れ教育してくれた。インドのその他の地域でも英国の聖公会が学校を開いて子供たちに教育を与えてくれたので教育水準が高まった。
ルイスさんは「インドに併合され、ポルトガルから独立した後は経済が悪化した。ポルトガルや英国の統治時代の方が良かった」と語る。
(G)