台湾の行政院長が抗議学生と対話
「大陸に職を奪われる」は誤解
台北駐日経済文化代表処がこのほど明らかにしたところによると、江宜樺行政院長は22日、立法院の周辺で「両岸サービス貿易協議」に反対する座り込み活動を続ける学生らを訪ね、学生代表と対話、「両岸サービス貿易協議」によって台湾の雇用は増えこそすれ大陸の人々によって奪われることはない、などと説得した。
江行政院長は「行政院はが立法院で条文ごとに議論および審査されることを希望しており、一括立法の方式で同協議を通過させることはない」との考えを表明した。そのうえで江院長は、台湾の未来に関心を持つ人々に対して、冷静に、理性的な態度でこの事件を速やかに落着させるよう呼び掛けた。
江院長は、「同協議は(反対派が批判するような)国を貶(おとし)め、台湾を売り飛ばすものなどではなく、台湾に対して有利な協議である。大陸はわが国に譲歩して80項目開放し、世界貿易機関(WTO)加盟国の待遇よりも優遇したが、わが国は大陸に対して開放したのは64項目で、WTOの待遇を超えるものではない」と述べ、「政府は同協議の速やかな発効を強く望んでおり、そのようにすることによって初めて、その他の国との大陸市場における競争に追いつくことができる」との認識を示した。
同協議によって「中国大陸の人々に台湾での就業が開放され、台湾の500万人もの労働者が仕事を失う」など事実と懸け離れた流言が広まっていることに対して、江院長は「同協議が通過すれば、国内には1万2000人の雇用機会が創出される。基層労働者の仕事であるタクシー、工場作業員、病院看護職員などの仕事は影響を受けない」と説明し、「政府は大陸からの移民管理制限政策を変更しておらず、絶対に投資移民を開放することはしない」と強調した。
学生らが同協議の撤回と「両岸協議監督条例」の制定を要求していることについて、江院長は、「与党は一貫して同協議は条文ごとに議論、審査、表決するとの立場を主張しており、同協議が立法院で十分に意思疎通が図られることを望んでいる。だが、遺憾であるのは、野党が議事をボイコットするため各条文の議論を進めることができないでいることだ。そこで輪番の与党の委員長が極めて短い時間内に委員会の送付決定を行ったものである」との認識を示し、「同協議は、すでに委員会から送付されたが、行政院は立法院で同協議の内容について条文ごとの議論、審査が行われることを望んでおり、一括立法の方式で同協議を通過させることは決してない」と述べた。
「両岸協議監督条例」の制定に関して江院長は、「政府はこのメカニズムを制定するために、両岸人民関係条例の改正を進めており、与党はこの議題について、構想段階、調印前、調印後、発効後の4段階で立法院および国民が共同で政府を監督することを決定している。
国会から代表を派遣して各段階の進度を監督することを歓迎し、同時に政府からも与野党会派に調印する主要内容を自主的に報告するものであり、最近調印した両岸地震監測協力協議および両岸気象協力協議などについてもこの精神で監督するものであり、今後の協議についても同様である」と説明した。