人口減少と安全保障、外人雇用拡大と防衛強化を
懸念される国防力
国立社会保障人口問題研究所は、日本の人口(現在約1億3000万)が、現在の人口減少の趨勢(すうせい)が止まらなければ、2060年には8674万人に減少。2110年には4286万人に減少。2200年には1142万人に減少。2300年には僅か308万人に減少すると予測。2013年の人口自然減は過去最大の244万人だった。
東京都も都の人口(10年調査で1316万人)が2100年には僅か713万人になると予測する。日本と日本を追うアジア新興諸国の少子高齢化と人口減少の経済と国防への影響に関する先駆的実証研究は、原田泰(大和総研専務理事チーフエコノミスト・現早大教授)と長谷山雅巳(同エコノミスト・現大和投資信託運用企画管理部次長)による『週刊エコノミスト』(11年)のシリーズ(2月8日・3月8日・同22日・同29日)が貴重である。
実際には、この人口減趨勢を変える対策と要因が生まれると思うが、当面は経済活動維持のために外国人の国内雇用が不可避的に増加すると予見する。現に政府は国内受け入れ整備による外国人の就労拡大の方針で、先ず東日本復興と東京五輪用インフラ整備で人手不足の建設業と高齢化社会用の介護福祉士の受け入れ拡充及び高度技術者の永住権取得必要期間の短縮をする。日本の大手諸企業も日本の人口減と事業の国際化で、優秀な外国人大学新卒の本社採用を増加している。
深刻なのは国防力である。もし少子高齢化と人口減が現在の趨勢で進むと日本人は少数民族化し、有人離島(現在258島)の無人島化が増加し、国防力は脆弱(ぜいじゃく)化する(反日自虐的日本人だけは増殖?)。更に外国人が日本の土地を買収できる日本では、日本国土が合法的に外国化する恐れがある。中国は驚異的速度・規模・ハイテク化で軍事・経済的覇権国化しているが、尖閣諸島を含む東シナ海と南シナ海の軍事力による中国の領海空化を米国は警告する。中国は正に『前世紀の“帝国主義”の遅参国』である。
米国救援の過信は禁物
日本の安全保障には明治の日英同盟と同じく現在の日米同盟は絶対条件である(渡辺利夫拓殖大学総長『世界平和研究』12年夏季号)。米国は日米同盟で日本の防衛が建前だが、中国の軍事大国化と米中経済関係の強化で、日中武力衝突の場合、対日軍事援助よりも対中妥協と尖閣領有権の放棄を迫ると米国の専門家達は予見する(安倍首相の靖国参拝への『失望』はその前兆?)。更に、日本は『米国の対日軍事的庇護必至』という従来の神話を捨てて日本独自の防衛力強化を要請している(A・ウォルドロン、『経済教室』日本経済新聞3月7日)。
結局、人口減少に伴う日本とアジアの『戦争無き平和維持』と産業活動の維持には、無人機と各種ロボットを含むハイテク軍事力の強化と産業活動のハイテク化が必須で、更に、多数の核弾頭製造可能国日本の国産核装備か核攻撃力装備の米軍原潜の日本周辺近海常駐遊弋(ゆうよく)による『戦争抑止力』と日本版『外人部隊』(例:無人化離島の防衛部隊)の創設で、現在では“非常識な暴論”と嘲笑(ちょうしょう)されると思うが、人口激減の日本の平和と安全保障の現実的選択肢として真剣に検討する必要がある。
「外国人が他国のために生命をかけた防衛ができるか?」という懸念も日本側の受け入れ条件次第で解決できる筈。集団的自衛権と武器3原則の改訂は必須である。『太平の眠りが覚めぬ日本』の戦争無き平和と安全保障の短期・中期・長期の戦略策定と実行は『明日では遅い』と懸念する。