日本の「女性天皇」論議に関心 ースペインから


 「日出づる帝国・日本は、21世紀の時勢にもかかわらず、女性が皇位に就けない最も保守的な君主国である」――スペインの有力紙「エル・ムンド」の記事である。
 この記事を目にした友人から、どうして女性が天皇になれないのかという電話をもらった。筆者は、女性の天皇ではなく、女系の天皇を認めない事情を説明し、歴史上、8人の女性天皇が即位していることを話すと、どうやら納得してくれた。

天皇、皇后両陛下と秋篠宮殿下は「新年祝賀の儀」に臨まれた=2021年1月1日午前、皇居・宮殿「松の間」(代表撮影)

 ある弁護士からも、女性と女系の違いを理解した上での質問を受けた。それなら、何故、愛子内親王は継承できないのかと。

 さすがに弁護士らしく、的を射た問いである。確かに、愛子内親王の父は天皇であり男系だが、現行法(皇室典範)は男系男子に限ると定めていると答えるしか術(すべ)は無かった。

 「この制度は“男尊女卑”の典型的な例である」。これはエル・ムンド紙の記事に付された読者の書き込みである。とんでもない誤解だが、同紙は、日本の有識者会議で神武天皇以来の皇統を維持するため旧皇族からの養子縁組を検討していることは報じていても、女性と女系天皇の区別、歴代の女性天皇には全く触れていない。

 先の弁護士には、「今も昔も、民間の女性が皇室に入ることに制約はないが、一般男性を皇室に入れたことは一例もない。現在の皇后陛下も上皇后陛下も民間の出身だ」と説明すると、彼は「皇室に関しては“女尊男卑”だな」と笑っていた。

(T)