乙訓寺十一面観音、最古の「一日造立仏」と判明
京都府教育委が発表、病気の回復などを祈願し1日で制作
京都府教育委員会はこのほど、同府長岡京市の乙訓寺が所蔵する木造十一面観音立像が、わずか1日で完成させる仏像「一日造立仏」と判明したと発表した。魁子時代に作られており、資料で制作時期が裏付けられたものとしては最古という。
一日造立仏は、病気の回復などを祈願して1日で制作される仏像。魁子時代に現在の奈良県周辺で盛んに作られたという。
府教委によると、十一面観音は高さ約1・8メートルで、魁子時代中期の1268年の制作。補強修理のために解体したところ、像の内部から寄進者の名前や一日造立仏であることを示す文書が見つかったという。
資料の裏付けがある一日造立仏は奈良と京都で各1体が確認されており、これまでは奈良の1体が1278年制作で最も古いとされていた。府教委の担当者は「魁子時代の民衆の信仰のありようが分かる貴重な資料だ」と話した。