バイキング活動年代を初特定、名大の発見が貢献


カナダ遺跡の木片を調査、1021年に切断したと断定

バイキング活動年代を初特定、名大の発見が貢献

カナダ・ニューファンドランド島にある世界遺産遺跡「ランス・オ・メドー」近くに復元された建物。同遺跡は北欧のバイキングが11世紀に大西洋を渡り、居住したと考えられている(英ネイチャー誌、グレン・ネーゲル氏提供)

バイキング活動年代を初特定、名大の発見が貢献

北欧バイキングによる遺跡と年代が特定された木片

 北欧のバイキングが大西洋を渡り、11世紀にカナダ・ニューファンドランド島に居住した跡である「ランス・オ・メドー」遺跡について、オランダのフローニンゲン大やカナダ国立公園局などの研究チームは20日、バイキングが現地で活動した具体的年代を初めて特定したと発表した。発掘された木片に含まれる放射性炭素(C14)を詳細に調べ、1021年に金属の刃で切断したと断定した。

 この遺跡では木造家屋や鉄器、青銅器などが見つかり、欧州人が最初に北米に居住した跡として1978年に世界遺産に登録された。年代はコロンブスによる15世紀の「新大陸発見」より古く、大まかにしか分かっていなかった。論文は英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 C14は銀河宇宙線や太陽から飛来する高エネルギー粒子が大気に衝突して発生し、二酸化炭素の一部として光合成で木に取り込まれる。大気中のC14濃度の変動が木の年輪ごとの濃度にも反映されるため、年代測定に利用される。今回の木片3個の年代測定は、名古屋大の三宅芙沙准教授らが発見した993~994年の大気中C14濃度の急上昇現象が大きな手掛かりとなった。

 三宅准教授らは鹿児島県・屋久島で伐採された屋久杉の年輪に含まれるC14を測定し、774~775年と993~994年にC14濃度が急上昇したと2012~13年に発表した。大規模な太陽フレア(表面の爆発現象)が原因の可能性が高いとみられる。三宅准教授は「C14濃度の急上昇をタイムマーカーに利用できる可能性が発見当時から考えられていた。新しい発見につながり、とてもうれしい」と話している。