太平洋岸でサケやウニが大量死、赤潮が原因か
北海道の漁業に被害、水揚げ減少で価格高騰、返礼品停止も
北海道東部の太平洋沿岸で、秋サケやウニが大量死している。水揚げの減少で価格は高騰し、食卓に影響が出ているほか、ふるさと納税の返礼品を停止する自治体も。大規模な赤潮の発生が影響したとみられ、道は対策に乗り出した。
農林水産省によると、赤潮はプランクトンの異常増殖で起き、海中の酸素欠乏により魚などの大量死につながることがある。9月中旬に釧路市沿岸で確認され、徐々に拡大。道の担当者は「これほど広範囲の赤潮は記録にない」と話す。水産研究・教育機構の長谷川夏樹主任研究員は「本来生息していないプランクトンが流れてきて、栄養分や水温など増殖に必要な環境が整ったのでは」と推測する。
漁業被害は10月1日現在、サケが計1万匹を超え、収穫予定の約9割のウニが死滅した漁協もある。約2000万円の損失が出たという漁協の関係者は「自然災害だからどうしようもないが、つらい状況」と嘆いた。
釧路市内の小売店では、秋サケの価格が例年の1・5~2倍程度に高騰。売り場担当者は「全然売れなくてきつい」と悲鳴を上げる。豊洲市場(東京都江東区)のウニに詳しい関係者は「被害があった海域はこれから出荷が始まる。仮に影響が出るならこれから」と警戒する。
釧路町は、ふるさと納税の返礼品に特産品エゾバフンウニをそろえるが、9月下旬に受け付けを一時停止した。ウニは人気の返礼品で、今期は既に1000件程度の申し込みがあったという。
被害拡大を食い止めようと、道立総合研究機構は被害海域で採水を行い、プランクトンが増殖しているかなどを調査している。道水産局の古村竜次局長は「モニタリングで赤潮の広がる方向を予測できれば、発生前に対処できる」と説明。道は、漁業関係者への補償も検討している。