早大の「村上春樹ライブラリー」、10月開館へ
「新しい文化発信基地として、自由で独特なスポットに」
作家の村上春樹さん(72)は22日、母校の早稲田大(東京都新宿区)で10月1日に「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」が開館するのを前に同大で会見し、「大学の新しい文化発信基地として、自由で独特でフレッシュなスポットになれば」と期待を語った。
同館のモットー「物語を拓(ひら)こう、心を語ろう」も自身で考案。村上さんは「小説家だけでなく人は日々、自分の物語を作っている。今は若い人が未来に薄暗いビジョンしか描けていないのでは」とコロナ禍の現状に触れ、「いつの世の中でも理想みたいなものはあるべきだ。そういう良質な物語を示していくのが僕ら小説家の役割」と自戒の念を込めた。
同館では建築家の隈研吾さん(67)がデザインを手掛け、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん(72)が建築費約12億円を出資。会見に同席した隈さんは、村上作品の「現実か非現実か分からないはざまの世界」を表現したと説明し、柳井さんは「文学だけでなく日本の文化を発信する場になってほしい」と語った。
同館にはこれまでに村上さんの原稿のほか、50言語以上に翻訳された作品や個々の書評、レコードコレクションなど約1万点が寄贈され、順次公開されていく。