ちりに隠された131億光年先の銀河を電波観測


宇宙初期の銀河、国際研究チームがアルマ望遠鏡で発見

ちりに隠された131億光年先の銀河を電波観測

ハッブル宇宙望遠鏡による光の観測画像(左)で銀河が見えない部分(内枠の上)に、アルマ望遠鏡による電波観測では銀河があると分かった。131億光年先の宇宙初期の銀河であり、光がちりで隠されている(画像右はともに想像図)(アルマ、NASA、ESAなど提供)

 国立天文台や早稲田大、広島大などの国際研究チームは、くじら座の方向に131億光年離れた遠い宇宙に、ちりに隠された銀河があるのをアルマ望遠鏡(南米チリ)による電波観測で発見した。銀河を構成する恒星の明るい光はちりで覆われているため、ハッブル宇宙望遠鏡などで観測できない。こうしたタイプの銀河では最も遠い観測記録という。論文は23日付の英科学誌ネイチャーに掲載された。

 宇宙は138億年前に誕生したと推定されており、その7億年後の銀河を捉えたことになる。宇宙初期の銀河は予想以上に多かった可能性が浮上し、国立天文台アルマプロジェクトの札本佳伸特任研究員は「ちりに埋もれた銀河は見逃されてきた。銀河形成理論に大きな影響を及ぼす発見だ」と話している。

 銀河のちりは恒星の世代交代に伴って放出される。宇宙初期には恒星の光を覆い隠すほどちりが増える例はあまりないと考えられてきた。

 しかし、国際研究チームは131億光年先の明るく輝く銀河の近くに、温度が周囲より高いちりとガスがまとまって存在するのを発見。この中には銀河が隠されており、恒星の光によってちりが熱せられていると結論付けた。同様の銀河はほかにも見つかった。

 宇宙初期のハッブル宇宙望遠鏡などで明るい光を捉えられる銀河では、おおぐま座の方向に134億光年離れた銀河が観測された例がある。