観客入れ開催の宮城、キャンセル相次ぎ混雑なく
女子サッカーを実施、静かな開幕に地元からは複雑な思い
宮城スタジアム(宮城県利府町)では、女子サッカーの試合が観客を入れ開催された。観客らは仙台駅などからシャトルバスやタクシーに乗り次々と訪れたが、入場者数はチケット販売数の半分ほどにとどまり、混雑する様子はなかった。
県によると、チケットは約6000枚売れたがキャンセルが相次ぎ、実際の入場者は約3000人だった。福島県郡山市から同僚と2人で来た会社員の矢内拓真さん(31)は「国全体としての盛り上がりに欠け、復興五輪もあまり注目されていない」と受け止める。試合時間が遅いため仙台市内に宿泊するが、「直行直帰」の呼び掛けに応じ「ホテルに閉じこもるしかない」と話し、会場を後にした。
都市ボランティアの公務員、相沢正行さん(65)は、得意の英語を生かして外国人客の案内をしようと応募したが、この日は道案内の看板を掲げただけ。通り過ぎる観客はまばらで、「寂しい」と話した。それでも、「生きている間にもう、日本でオリンピックはないのでは」と考え、担当する3日間は案内役を全うするという。
地元の人からは複雑な思いも聞かれた。利府駅前で駄菓子店を営む猪股ふみえさん(57)は「最初は(インド由来の)デルタ株を持って来られたら困ると思っていたが、こんなに静かに始まったので批判はしない。ただ無事に終わればいい」と安全な開催を願った。