粘り見せたなでしこ、岩渕真奈がエースの働き


諦めずにカナダと引き分け、一丸となり大きな勝ち点1

粘り見せたなでしこ、岩渕真奈がエースの働き

開会式に先立って始まったサッカー女子1次リーグ・カナダ戦の前半、ドリブルする岩渕(左から2人目)=21日、札幌ドーム(時事)

 1点を追う試合終盤。敗戦も頭をよぎる中、なでしこは最後まで諦めなかった。自陣からの浮き球のロングパスに抜け出したのはエース岩渕だった。迷わず右足を振り、「全員の気持ちが乗ったゴールだった」。10番を託された28歳。激しいマークを受け、苦しみながらも期待に応えた。

 最も注意していたはずの立ち上がりに失点。耐えて、後半勝負に持ち込むプランは早々に崩れた。それでも細かいパスワークで打開を図る。中盤で簡単にボールを失うことが多く、敵陣内で脅威を与える場面は少なかったが、数少ない好機を確実に生かしてみせた。

 W杯ドイツ大会で初めて世界を制してから10年。ライバルは恵まれた身体能力に加えて組織力も身に付け、日本の技術面の優位性は消えた。それでも若手主体のチームには粘りがある。「できる限りの力を出し切った試合だと思う」と岩渕。仲間を信じて走り続けた。

 リオデジャネイロ五輪の出場権を逃し、雪辱を期す舞台。「初戦の難しさを改めて感じたが、次につながる」と熊谷。選手を後押しするホームの声援はない。乾いたボールの音が響き渡る札幌ドームには寂しさもあったが、一丸となって大きな勝ち点1を手にした。