イスラエル ネタニヤフ氏退陣へ
野党が連立合意 過半数は微妙
イスラエルの中道政党イェシュアティドを率いるラピド元財務相は2日夜、3月の総選挙を受けた連立交渉で、新たな連立政権を樹立することで野党8政党が合意したとリブリン大統領に報告した。
12日以内の期限までに議会で承認されれば、これまで連続12年、通算15年にわたって首相を務めたネタニヤフ氏が退陣することになる。
新連立政権が発足すれば、最長で4年の任期となる首相職は「輪番制」を採用し、まず極右ヤミナの党首のベネット前国防相が務め、2年後にラピド氏に交代するとしている。
ベネット氏は、イスラエルの占領地ヨルダン川西岸への入植活動を進めるなど強硬姿勢で知られている。ただ、連立政権には右派、中道だけでなく、左派政党やアラブ系イスラム政党も参加しており、政策の隔たりは大きく、連立の維持は困難が予想される。
ネタニヤフ氏は、左派政権はイスラエルの安全保障と未来を危険にさらすと危惧しており、ラピド氏による連立政権の発足を阻止するため、野党側の右派議員に反対票を投じるよう促して切り崩しを図るとみられる。
イスラエルのメディアによると、極右ヤミナの議員1人がラピド氏の新連立政権に加わることを拒否しているという。
期限までに野党側の議員数人が離脱すれば、新連立政権は議会で過半数の61議席を獲得することができず、2019年以降で5度目となる総選挙に向かう可能性がある。
今年3月に行われた2年間で4度目となる総選挙(国会定数120)では、ネタニヤフ氏が率いる与党右派リクード(30議席)が第1党となったが、収賄罪などで公判が続いているネタニヤフ氏は、過半数の議員から支持を得られず、期限内での組閣交渉は不調に終わった。
これを受け、リブリン大統領は先月、第2党のイェシュアティド(17議席)を率いるラピド氏に組閣を指示した。ラピド氏は組閣期限の直前まで交渉を続け、野党勢力の協力を得て過半数を確保した。
(エルサレム・森田貴裕)